西原式育児では、赤ちゃんを第一に考え、赤ちゃんの成長に見合っていないことはしません。そのため赤ちゃんには負担がかからないので赤ちゃんはご機嫌でいられます。西原式育児では、特に"離乳食を遅らせる"ということばかりがクローズアップされがちですが、それは西原式育児の一部にすぎません。赤ちゃんが健康でご機嫌に育つ西原式育児のキホン"7ケ条"を西原克成先生の著書やHPをもとにまとめていきます。
西原式育児のキホン"7ケ条"
1.温かく育てる
2.離乳食は1歳半から2歳を過ぎてから
3.口呼吸のくせをつけない
4.紙おむつや衣類のゴムで赤ちゃんを締め付けない
5.眠るときは上向き寝
6.おしゃぶりを活用
7.ハイハイを省いて早く歩かせない
基本7ケ条について、それぞれの項目を細かくみていきましょう。
1.温かく育てる
一番大事なことは、なんといってもこれではないでしょうか。西原式育児を「トンデモ育児」のように言う人もいるかもしれませんが、赤ちゃんを冷やさないって、普通に考えればごく当たり前のことですよね?その普通のことができづらい世の中になっているからこそ、意識的に赤ちゃんを「温かく育てる」必要があるのです。ひと昔前とは違い、どこの家にも冷蔵庫もクーラーもあるので、腸を冷やすチャンスが増えています。コンビニの増加率とアトピー・喘息などのアレルギー性疾患の増加率が比例しているのをご存知ですか?外出先でも冷たい飲食物が簡単に手に入るようになり、冷たいものを摂る機会は昔より格段に増えているのです。「三つ子の魂百までも」といわれますが、3歳で体の土台ができあがるまでは、徹底して赤ちゃんを冷えから守る必要があるのです。
ミルクはきっちり計って40〜42度
赤ちゃんには体温以上のものを飲ませ、血行が良くなるようにおむつや靴下は緩くし、手足を暖かく保ちましょう。
一般的に粉ミルクは人肌の温度で調乳しますが、実は、それでは温度は低いです。飲む途中でも温度は下がり続けるので私はきっかり42度で調乳しています。ヒトの細胞内のミトコンドリアは42度以上では死んでしまうので、肌感覚で調乳してうっかり温度が上がりすぎてしまわないように、しっかりと温度計で計るのがよいでしょう。(ミトコンドリアについてはこちらの西原先生のサイトをご参照ください。
http://nishihara-world.net/original18.html)
母乳育児の場合は、母親の体表面温度が36.7度前後であれば内臓温度は37.2度~38度です。そのため、母乳も38度ほどであると仮定できます。しかし、母親が冷たい食べ物や飲み物を好み「冷え中毒」になっていると、内臓温度は下がるので当然ながら母乳の温度も下がります。母乳の温度が下がれば、赤ちゃんの内臓も冷えるので、赤ちゃんは緑便をします。残念ながら、「冷え中毒」の母親の低温の母乳よりも、40〜42度で調乳された粉ミルクの方が赤ちゃんにはふさわしいと言えるのです。
冷えがよくない明確な理由
腸は、摂氏36.5度以上の温かさがないと、働きが悪くなります。これが大前提です。
冷たいものを大量に摂ると、冷たさが胃と腸のはたらき(消化力と吸収力)を格段にわるくします。免疫力の根本は、腸からの栄養吸収です。これは身体の防衛軍の維持に欠かせません。このはたらきがわるくなれば、免疫力が落ちるのは単純明快なリクツです。冷たいものを摂りすぎると、だるくなったり食欲がなくなったり下痢をしたりするのは、そのためです。胃腸を冷やすと、ヒフ、肺、膀胱などもやられます。これらは元々腸管の一部だったからです。妊娠中に母体の胃腸を冷やしすぎると、生まれた子どもはアトピーになりやすくなります。
引用:『お母さんは世界一の名医』/西原 克成/東洋経済新報社 113頁より
冷たい食べ物を摂る
↓
腸が冷える
↓
免疫力が落ちる
↓
アレルギー性疾患などのトラブルが起きる
というわかりやすい図式が成り立ちます。アレルギー性疾患などのトラブルが起こり肌が常に痒い状態になれば、大人でさえ平常心ではいられないはずです。当然、赤ちゃんも機嫌が悪くなってしまうのです。
市販のベビーフードに、「あたためずにそのまま食べられます」とよく書いてありますが、それは加熱調理済みですよ、という意味です。表示を鵜呑みにして温めていないベビーフードをそのままあげて腸を冷やすなんていう恐ろしいことをするべきではありません。赤ちゃんが1歳をすぎるととたんに氷水や常温のごはんをあげているお母さんがいますが、絶対にダメです。体温以下のものは口に入れないように注意を払うべきです。娘が2歳6ヶ月の今でも私は年中外出時はお湯を持ち歩いています。
紙おむつで冷やさない
赤ちゃんの体温は、耳の鼓膜温度で37℃から37.5℃が丁度良いのです。紙おむつは冷えるので赤ちゃんは不機嫌になります。顔や手や足が冷たいだけでも、おむつや靴下のゴムがきついだけでも、赤ちゃんは緑便や便秘になって、同時に低体温になります。
紙おむつに関しては、使用されている高分子吸収材の経皮毒が懸念されることがありますが、実際に経皮毒に関する正しいデータがあるわけではないのも事実です。しかし、高分子吸収材は熱冷ましのシートや保冷剤の材料であることは事実です。水分を含んだ高分子吸収剤は、保冷剤と同じ役割をするので当然体温を奪います。「12時間吸収」とうたっている製品だからと言って一晩中つけたままにするようなことは、おしりに保冷剤を一晩中あてているのと変わりません。紙おむつよりも布おむつの方が好ましいですが、紙おむつを使う場合の対策として、パンツタイプよりもお腹周りの調節ができるテープタイプを、また、濡れたら即交換し、水分を含んだ高分子吸収剤で肌を冷やさないようにする、ということを徹底する必要があります。